竹村雄哉・竹村転子 連詩1


2014年11月に2人で10篇ずつ書いた連詩です。



宇宙の膨張速度について考える
辛いことがありました
細胞膜について
泣いています
食べることばかりは
病気です
寝ていてばかりは
病気です
他人のことばかりは
病気です
先生、
よくなりますかね
ねむれますかね
いつかみんないなくなる
だからどうでもいい
なげつけるように
マッチを擦る、
煙草の先へ、
どうでもよくない
石へ刻むように
うたいました
集合無意識
本に書いてあります
私が信じるものは
あなたです
<雄哉>


天の川に流されたい
流れていいところへ行きたい
こんな場所ではないところへ
行ってしまいたい

お腹も減らない
眠たくもならない
誰とでも仲良く
なれる場所だそうだ

(嘘ばかり)

あいつは嫌いだが
死ねとは思わない
あなたは好きだが
死なない訳がない

瞬間が永遠だとか
綺麗すぎること言わないでほしい
ぼんやり流れて
いつの間にか桟橋だ

(本当だよ)

歩かなくて済む
動く歩道に乗って
流れ着くのは
高層ビル群の真ん中

足を鍛えましょう
歩けなくなってしまう
ここは地上だ
生き物で溢れている!
<転子>


差別している
直立二足歩行している西口広場
杖をついたひと
車椅子のひと

警察官に呼び止められる
「現場はどこですか?」
「なんのことですか?」
「爆発ですよ。」
「それなら頭の左の後ろ側です。」
「そうですか。」
「それよりあなたのお名前は?」

西の空から黒い雲が
瞬間、光、暫くして、音
今からそちらへ帰ります
電車に乗って帰ります
雀や鳩やあなたや
生き物のいるあの街へ
帰ります
<雄哉>


どこにだってなにかが生きている
病気の街路樹だって生きている
枝を切られても生きている
根だけになっても生きている

私はセイメイリョクが弱くてネ
ちょっとお腹がすいただけでヘナヘナだ
おうちでだってサバイバル
三分後に生きている保証なんてないんだよ

一日も無駄にしない人生なんて
あるのかネ
そんなの生きているって
言えるのかネ
ぼんやり天井を眺めて丸一日過ごしたことがないような人とは
お近づきにはなりたくないネ

今日は休みの日だから
ラクしよう
カップラーメン食べよう
三分後に生きていることに
賭けてみよう
湯気たてて
時計を睨みつける
<転子>


まずは一回
ヒンズースクワットをやってみよう
一回を三度やったら
三回

地上の話を書く人がいて
宇宙の話を書く人がいて
色々な人がいて
華麗なステップや跳躍をしていて
僕はそれを読んで
感動
羨望
嫉妬
落胆
しているんだ

思考を自由に遊ばせる飛行訓練
身体感覚から起こるさまざま
近所に買い物へでかけるだけで疲労する事実

まずは一回
そして一回
ヒンズースクワット

生き残る技術
漲れちから
今は想像もできないような

場所までいくのだ
<雄哉>


住宅街って美しい
みんなが家の中に収まって
想像できないような
ありきたりなような
暮らしをしている

家々の間を歩く
夢ごこち
確実に生きていると
思える瞬間はある

雀が飛んでいるだけで喜べるうちは
まだ私、大丈夫
あなたも、大丈夫

敵に囲まれている訳じゃない
ただ知り合いじゃないだけなんだ
そのほうが健やかに
存在できる間柄はある

自分の腕をつねったことはあるかい
本当に居るのかどうか確かめるため
脆いね
独りでは
わからない

知らない人でも
居てくれたほうがいい
知らない人にも
存在していてほしい

まだ、大丈夫だね
ね?
<転子>


我が家のテレビは
大晦日と正月と大災害のとき
くらいにしかスイッチが入れられる
ことはない
何年前からだろうか
どこの野球チームが勝ったとか
誰が誰を殺しただとか
バラエティーであるとか
興味を失っている
自分にとって重要なことは
インターネットや新聞で
情報を集めて
考えることにしている

まるで薄暗い部屋でもぞもぞ
しているかのような想像を
されてしまいそうですが
南向きの窓からの光は
強く、
強い
アパートの草花は繁茂していて
二階の窓まで達している
それを見ると安心するんだ
だからこの部屋が好きだ
きみがいて好きだ
傾いているがそれは
たいした問題ではない

さて、テレビ
五時の鐘と共に眠りに落ちて
夢を見た
仮想空間に生きている僕らは
戦争をしていた
それが今度テレビ放映されるらしい

そこで目覚めた
テレビをつけてみようかな
でもただでさえ恐怖である歩道橋が
とても沢山出てきたあの夢には
帰りたくないな

行きたい場所はどこだろう
帰りたい場所はどこにも、ない
現在に焦点を合わせることに集中して
買い物をしました
視線が気になりますが
気のせいです
僕から見えるスーパーまでの道のり
それはあくまで僕の景色で
他の人は全く別の物を見ている
という可能性
現実
<雄哉>


ツイッターにあの人が現れないと心配になる
具合が悪いのかな
忙しいのかな
すごく親しいわけでもないのに

書かれたことは全てではなく
書かれないことのほうが多い

本も映画も絵も漫画もテレビも
全てを表したりしない
全てを描写はしない

断片

直接会っても全てはわからない
あなたの思考回路はあなただけのもの
なぜビールが大好きなのかすら
私にはわからない

断片

眼にみえて
聞こえて
触れて
香って
味わえて

断片

それを受け取って
思考回路

断片
私も撒き散らす
<転子>


あらわれては一瞬に過ぎていく
思考の断片が
つかまらず
ざわついている
大切なことが書いてあったはずの
本がどこにあるのか
そもそもどの本であったのか
さがしまわって
あきらめている
涙を流すことのふえてきた今に
解放感を感じる今に
身体のこわばりがとれてきている今に
可能性をみているのだ
過ぎ去ったものはいつか
かえってくるよ
きっと
かえってくるよ
安心だ
でも、
メモ!をとること
つかまえられるものは
なるべくつかまえる
言語に侵されているから
そこに落とし込んで
その先は
いずれそのうち
<雄哉>


ちいさく電子音響の流れる古書店
出会った本
真実が書いてあった
私にとってのその時の真実
友達に貸して読んでもらった
「ほんとうの事が書いてあると思ったよ!」
感想が
うれしかった
本の中身は変わらずに
読む私だけはどんどん変わる
あの時と同じ熱量で
読むことはもうできない
一瞬だけでも掴むことができたなら
その時に真実だと思ったのなら
読みながら涙を流して
珍しく傍線なんて引いたなら
連絡の途絶えた友達も
それをほんとうだと思ったのなら
その時には真に私の友達だったのであり
崩れ去る訳ではない
全ては過程
変化するという事実だけが
変化しない
悪魔のようだ
<転子>


ページを繰る
心臓

電子音
聴こえてくる
静かな午前零時
どこまでも緩んでいけと
念じながら
文字情報を
流し込み
考える
隙もなく
午前零時
正義の人殺しがあります
隣の家のテレビから
聴こえてきます
私はその情報を知っています
なんらかのかたちで縁取られた
それらをはずしていこうと
必死になっております
歌声は邪魔だなあ
なるべく単純な音を
聴きたいなあ
発したいなあ
<雄哉>


なにも無いところに立ってみたい
なにも無いっていっても
たとえば大草原にだって
地面に草が生えているし
空気が流れているし
なにしろ私が立っている
なにも無いところって
きっと死んだあとにしか行けないね
生きている間は
ぜったい何かに取り囲まれていて
骨や肉に制限されて
名前や思考に制限されて
なにも無いところは
怖いかもしれないね
家に独りで居るだけで
怖くなる私としては
なにも無いなんて
不安で仕方ない
なにもかも無くなればいいとか
思う事もたまにあるけれど
そんなの嘘なんだ
今あるすべてに
ずっと在ってほしい
ほんとうなんだ
<転子>


無神経と言っている
自分の神経のありかを
うたがえ
布団からはみだした
足を
尊重しろ
画面の裏側で
蜘蛛が巣をはっている
視覚を
脳の捏造を
薬を盛られて能の様にあるく
人々のまなざしは
固定されているが
ソファに腰掛ける自分とは
確実に違う場所にいるのだ
煙草の煙とともにパチンコ屋の扉
雨のことは気にしなくなった
溌剌ならいいわけではない
あらゆる虚脱に
おだやかなまなざしを
眼鏡の奥で目をひん剥いた
自分がいる
<雄哉>


「元気を出して!」
励ましの言葉を
辛いきもちで聞く
コントロール
あなたも
私も
できるものですか
コップの水も
飲み干せない
死ぬ人が居なくなりそうな
健康雑誌
ぜったい読みたくない
顔に出てしまうタイプなんです
不機嫌と好機嫌
わかり易くて良いでしょ
あなたの顔が曇って
申し訳ない
コントロール
ガラスすれすれの窓際席
<転子>


過去の出来事を話すことは
まるで罪であるかのように
ながされていく
そんなこといいではないか、は
ぜんぜんよくない
いまの私にすると
ぜんぜんよくない
外の木が濡れていて
雨を知る
起き抜けに耳がどうかしている
携帯電話をみながら
ふらふら歩くひとを
蹴散らす必要性
願望
制御盤はどこにあるのか
どこが故障しているのか
どこが合っているのか
<雄哉>


重くて沈んだ石
何度も水底から取り出して
濡れているから色濃く
濡れているからひんやり
語り合おう
石について
そのうちにはきっと
丸くちいさくなるはず
河原の石のように
乾いて
温かく
それだけで居られたなら
ひとっとびとは
そういう訳には
いかないよ
毎日でも
語り合おう
重く沈む石について
<転子>


買い物へでる道端に
紙袋が落ちている
きっと札束だ
だが拾わないで歩く
夢ばかりみていてもいい
そこに住んでいれば天候に惑わされず
走り書きのアイデアと
暮らしていける
両足が重い
次の電信柱が
遠い
きづいてない

<雄哉>


きづいていない石につまずく
教えてくれなかったと
誰を責めることもできない
紙袋をかぶった私
たくさんの私
うごめいて
何か言いたげだね
聞いてあげよう
あなたたちの言葉
かすかな笛のような声
暴動を起こされる前に
阻止してみせる
殺されたくない
<転子>


茹ですぎたのか
そうめん
くっつきあって
たべづらい
固定すること
定義すること
かためたつもりになって
安心していたのだ
命の残り半分は
固まったものたちを
ほどいていくことに
賭けてみようと思う
安住の地など、どこにもなく
流転していく居酒屋の
スーツ姿の中年の
横柄な態度に腹を立てながら
ほら
左足
力が入っているよ
<雄哉>


力をこめてぶち破れば
なんとかなるのでしょうか
「混乱してしまうから、止めたほうがいいと思いますよ」
言ったあの人
おそらく混乱していた
無茶をしそうな人は心配になるけれど
無茶をした方がいい時も
あるんだよ
見守る
度胸が要る
止めたくもなる
それはあなたの事情でしょう
ぶち破りたいんだ
壊れない瀬戸際まで
なんとかしたい
するりと流れ込む水みたいに
隙間から突破して
洪水の波を
犬かきで泳ぐんだ
これからも
生き延びるためです
お許しください
生きていたいのです
<転子>






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